#18 スベッたDJを振り返る 其の弐 初大物DJとの共演

一回目の投稿のリアクションが思いのほか良かったので、矢継ぎ早に次の記事をと書いてみよかなと。色んなスベりパターンがありますが、今回はあからさまにスベった体験を記します。
今はコロナで場所がなく、スベるということができません。逆をいうと、スベるという経験も場所がないとできない貴重な経験。またこの経験から生まれる反省で人はまた一つ強くなっていく(強くなっていると信じたい)と思います。
大物ゲストとの初共演に気合入れ過ぎて空回る
話は自分が26歳くらいの頃にさかのぼります。自分は2-3年ほど滋賀県に住んでおりましたが、ちょうど引っ越して半年くらい経ったころ、その当時お世話になったクラブより、ローカルのHIPHOP系のイベントとクラブの周年での合同イベントにてオファーを頂きました。
箱の周年も兼ねていることもあり、著名な某DJをゲストにお呼びし、まさかの共演が叶うこととなり、相当嬉しかったです。
当時はやる気はすごくあったのですが、今と比べると全く活動はできておりませんでしたので、そんな全国規模のDJと共演なんて夢にも思わなかったのは正直なところでした。
出演が決まると次に行うことはもちろん選曲です。今回はHIPHOP中心のイベントではございますが、この某DJはHIPHOPからRAREGROOVE、そしてDISCOと幅広くカバーすることから、フライヤーには「HIPHOP,R&B,RARE GROOVE,DISCO,JAZZ」と銘打たれております。「なるほど、これはそんな様々なジャンルを愛する人が集まってくるんだな。」と思い、何を思ったのかフライヤーに書かれている全部のジャンルをやってやろうと思い、しこしこと選曲を行いました。HIPHOPから起こしてRARE GROOVEに持っていき、そこからDISCO、最後はNU-JAZZと「これでもか!!」という必殺セットを生み出し、それこそ毎日練習してその日を迎えました。
さて迎えた当日。練習も相当したし、友達も誘ったし準備万端。自分はまだまだひよっこのわりにたしか三番手をさせていただきました。
イベントが進行し、オープンのDJから二番手のDJ、遂に自分の出番がやってきました。が、オープンからそこそこ経っているにも関わらずお客さんはまばらで、まだゲストも来られておらず、空気は全然できておりませんでした。そして極めつけは自分の出番までに友達が辿り着いていない。
ああーそのパターンねー!!!なんて当時は思えず、この時点で薄らスベるような気配を感じておりました。
自分のDJがはじまったのは良いのですが、一曲目から明らかにテンションオーバーで、微妙に嫌ーな空気が流れ始めます。そして練習通りにDJを進めますが、最初のつかみからミスってるので、そこからいくら積み上げてもウケるわけはなく、また絶妙に終わり際10分ほどに友達が来てくれるも頭から聴いていないのでノリきれず、そして必殺のNU-JAZZチューンも創大に大ゴケするという、完封負け試合でした。
お客さんがあまり・・とかって書いてますが、心の底から「(そこまでお客さん来てくれてなくてよかった・・・)」と正直不謹慎ながら思った回でした。
そのあとゲストの方が到着し、それくらいからお客さんも増えだしてフロアーが一杯になり、某DJの匠なDJでHIPHOPからRAREGROOVE、そしてSALSOULなどのDISCOへと縦横無尽なDJを繰り広げ、さすがの盛り上がりでした。
同じジャンルの曲を使ったとしてもここまで違いが出るものかと、驚くと同時に実力の差に凹みましたね。。。
今回の敗因は、全体的に当時の自分に突っ込んでいきたいのですが
・①DJセットを貫徹するよりも現場の雰囲気を優先
・②HIPHOPイベントはBPMが大事
①DJセットを貫徹するよりも現場の雰囲気を優先
もう当然っちゃ当然ですが、アゲ調ばりばりのDJセットをビッタビタに決めたとしても、その場がちゃんと整っていない場合はスベります。この場合はDJセットを考えるときから、まずは場を整えるための選曲を行うのがベターですね。上手いDJほど最初は飛ばさない印象があります。自分がかけたい曲が合って、それをシェアしたい気持ちはわからなくはないですが、果たして自分がお客さんなら今聞きたいか?という自問が必要でした。
今でも選曲していた時と実際のイベントの空気感が大きく違い、内心「やべぇな」と思うこともあります。その場合、わからないなりに合わせていくような選曲をするのか、万が一ウケる可能性を信じて突っ切るのかの選択に迫られ、そういう時にDJのスリルを感じますね(ほんと気持ちの上ではそんな余裕ないですけど)。
②HIPHOPイベントはBPMが大事
絶対に遅くて打ちが強い曲が良いです。とくにHIPHOPのリスナーは曲の早さに敏感な印象があります。HIPHOPのジャンルの曲だから~と言って、早めのブレイクビーツ(BPM120ないくらい)にラップが乗ったような曲をかけても、それは空気が出来上がっていなければ、テンションオーバーになる可能性が高いです。TRAPが良かったりCLASSICが良かったりする現場もありますが、基本原則として遅くて打ちが強い曲が受け入れてもらえやすいです。
BPMと打ちの強さを大事にすると、RARE GROOVEでも受け入れてもらえやすいが、やっぱり曲の早さは大事かと思います。③
反省点だらけですが、ベタに走らずに博打を行ったことは自分の中で評価できるなと思います。スベったのはスベったのですが、そういう経験を積むことで、どのラインまでが許容してもらえるかどうかの線引きを自分の中で確かめていくことができたのではないかなと。(いやでも今でもスベる時はスベるか)。
まーでも、よほどのことが無い限りHIPHOPのイベントでNU-JAZZ(BPM130)をかけることはないかな。。。やりすぎやろ。。
あの頃から7年近く経った今、その当時共演をさせていただきました方と少し前にお会いすることができ、改めてご挨拶をさせていただきました。
共演することはこの先あるのかないのかはわかりませんが、少なとくとも7年前よりはいい感じのDJを行って、自分のDJを聞いてもらえるように頑張りたいですね。

激推しレコメンド
Hypnotic Brass Ensemble / Water
RARE GROOVEの大定番曲のカバーにあたります。オリジナルもかっこいいのですが、個人的にこちらのカバーの方が好きです。この辺は好みがあるとは思います。
前述のイベントでゲストのDJの時に、たしかわりとBPM早めのSAL SOULか何かのDISCOから急展開してSLOWな展開になったときにかけて、落としているのに盛り上げるという、かなり難しいことをやられていたのですが、そのSLOWパートでこちらの曲のオリジナルの方をかけてられたのが凄い印象的でした。ライムスター楽曲のサンプリング元という意味合いもあったのかと思います。この時この曲を聞いてダンスフロアーで踊りながら、DJとは、テクニックさえあればこんなにも自由で、しかしそのテクニックはすさまじく難しいなと痛感した思い出があります。この曲を聴いたり自分がかけたりすると、この時の気持ちがすぐにフラッシュバックするから、音楽って不思議ですね。
今回はクラブイベントで最もスベッたパターンでした。次回はスベッた影響で実際にDJが無くなる話でもしましょうか。
その時はつらかったけど、それがあるから今があるのですけども。しかしながらこの件については未だに悔しいな。。
よろしくどうぞ。